その薄い背中を抱きしめたい、と想うのだ。やがて終わってしまう命ならば、せめてせめてそれだけは、赦してはくれやしないか。誰か。

 “会いたいことは必要ってことだ”

 そううたうシンガーがいる。
 朝の空は冷えて広く、広く、果てのなさに無謀を感じた。
 呼吸が叶う体の不思議を信じている。
 彼の幸せを願っている。
 隣に誰かがいる安心を、求めている。


(片想い/20091205/シギ「愛の輪郭」より。)